カンヌ国際広告祭でグランプリに輝いたARGとは?
ローソンARGなど国内成功事例に学ぶこれからの店舗集客手法
■日時:2010年10月14日 18:30~21:30
■パネリスト:
八重尾 昌輝 氏 (国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)SIG-ARG 世話人)IGDA日本SIG-ARG所属
白井 明子 氏 (株式会社ローソン 広告販促企画部)
■モデレーター:藤元健太郎(ディー・フォー・ディー・アール株式会社 代表取締役社長)
●ARGとは?
IGDA日本でARG普及を推進する八重尾氏はARGの成功要件として『トランスメディアストーリーテリング』『コミュニティ』『代替現実感』の 3つの要素にが必要だと説く。
『トランスメディアストーリーテリング』とは携帯・PCなどデジタルメディアのみならず、実際の場所や書籍・映画・ゲームデバイスなど複数のメディアを触媒にすることを言う。接触するメディアが増えれば増えるほどARGの世界観に深みが増し、ユーザーも没入していくという。
『コミュニティ』とはARGを通じたユーザー間のコミュニケーションのことを言う。TwitterやUstreamなどを活用したバイラルコミュ ニケーション戦略はARGの大きな成功要因となっている。また、海外では既にシリアスゲーム型ARGも登場しており、社会問題に対して集合知で解決策を見出すような試みもある。
最後の『代替現実感』とはユーザーが物語に参加している感覚を持たせることである。現実空間上のメディアとバーチャルメディアを行き来することにより、物語世界への不思議な没入感が得られる。
●事例紹介
ARGの事例として最も有名なのはロックバンド「Nine Inch Nails」のコンセプトアルバム「Year Zero」と映画バットマン「The Dark Knight」のプロモーション事例である。
「Nine Inch Nails」のCDは感熱式となっており、再生後に暖まったCDから浮かび上がる文字列をきっかけに、楽曲内のストーリー(核戦争後の世界)に参加することが出来る。
また、バットマンの事例では映画内で知事役を演じるハービー・デントの知事選挙活動がリアルの世界で映画公開前に行なわれた。新聞や書籍・紙幣など現実に存在するあらゆるものを触媒にし、非常に『代替現実感』の高い取り組みとなった。
いずれも数百万人~1000万人のユーザーが参加し、アメリカではARGが大きな社会現象となった。
また、国内でもARGの事例が増えてきており、人気アニメ「ワンピース」とコラボレーションしたiPhoneアプリスタンプラリーキャンペーン『ローソンARG』を実施したローソンの白井氏は同キャンペーンについて以下のように話した。
「ローソンのお店でおにぎりを買うともらえるスタンプを5つ以上集めると景品がもらえるiPhoneアプリを活用したスタンプラリー型のARGを開催しました。
ローソンARGの取り組みは開始から1週間で10万人弱のユーザーが参加し、25%のユーザーが5店舗以上を巡回し、ゲームをクリアしました。これは通常のキャンペーンに比べても非常に良い来店率を記録したキャンペーンでした。
また、既存のPOSシステムの機能にレシートにシリアルナンバーを印字して個店識別する仕組みが実装されていたため、新たに機器の設置や店舗スタッフへの指導も必要なくスムースに実施することも出来ました。」
また、白井氏は最後に、ARGは可能性の宝庫と総括し、ローソンは10月も新しいARGキャンペーンを実施する予定であるという。
●総括
流行のソーシャルゲームの多くは、PCやモバイルの中だけでコンテンツが消費されるものが多いが、ARGはリアル世界へも影響が波及するため、店舗誘導や地域活性といった活用も考えられる。
恐らくソーシャルゲームとARGの境界線が曖昧な新しい楽しみ方の出来るゲームも今後増えてくるだろう。
また、ARGでは様々なメディアを触媒とするため、業界をまたいだコラボレーションの実現により、1つの企業単体では出来なかったような、斬新なプロモーションを出来るような可能性がある。
ただし、様々なメディアを触媒としても、対象の持つ『世界観』をいかに壊さず大切にするかも重要である。
大手企業が持つ多くの接触点(店舗・メディア・商品など)を触媒にすることにより、ARGは大きなムーブメントを生むことが出来るが、
ARGのような新しい取り組みに対して理解のある意思決定者の存在や若手の抜擢など大手企業の組織的課題も日本のARG普及にとって、大きな鍵となりそうである。
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