≪No.19≫ステルスマーケティング



 しかし残念ながらPC用のサービスは全て無料で利用できるものがiPhone用のアプリでは有料であるということでここでも利用者から大きな批判を受けることになった。 そしてその有料の検索結果に恣意的な操作があったということであるから,今回の問題は大きな問題として波紋を広げている。 食べログが「販売代理」でもあり「購買代理」でもあるという両面を備えたビジネスモデルであるならば,現在の中途半端な状態を改善し, より購買代理としてのポジションをまずしっかり作ることを目指すべきだろう。

 筆者の提案としては自分と似た嗜好の人のレイティングをより参考にできる仕組みに変えることもひとつの手段だと考える。 自分の近い人に近い人などを調べるアルゴリズムを導入することで,自分が評価している店を評価している人が評価している店の情報を調べるようにできれば, 単純に点数を高くつけるだけの人のレイティングは誰の検索結果にも反映されなくなる。

 このモデルは逆に自分がレイティングをすればするほど精度が高まるので,現在利用するだけでレイティングをしていない人達もどんどんレイティングする効果が生まれることになるだろう。 これまでは面倒くさいと思われることもあったかも知れないが,スマートフォンの普及で点数だけであれば簡単な操作で入れることができるようになるだろうし, こうした機能だけはこれまでと差別化して有料で提供するということもありだと考える。

 このように利用者側の視点にたったモデルではいわゆる「ステルスマーケティング」と呼ばれる。お金をもらって情報を操作することはかなり大きな問題であるが, 企業側の視点にたったビジネスでは無くなることは無いだろうし,ある程度は仕方無いだろう。 テレビ番組にしても雑誌にしてもスポンサーからお金をもらっている番組が宣伝っぽくなることは仕方無い。 最近では有名人のブログも企業の宣伝のような書き込みがたくさん出てくるがこれもスポンサーがいる以上は仕方が無いだろう。 あまりこうしたことを国として規制するということで厳しくすることには筆者は反対である。

 最終的には利用者側がどう判断するかであろう。実際ステルスマーケティングをしていた企業は顧客側から批判を浴びることも多く, それこそブランディング的にはマイナスに作用することの方が多い。

 ソーシャルメディアが有効に機能していれば企業は露骨に共感を失うようなステルスマーケティングを行うことに対して自重作用が働くことになる。 有名人はお金を払って書いてもらうことは許容しても,一般人のフリをして,たくさん書き込みをしているようなことがばれればそのダメージは大きい。 ソーシャルメディアの力を守るのもソーシャルメディア自身の持つ自浄作用にあることを筆者は信じたいと思っている。

藤元 健太郎(ディー・フォー・ディー・アール株式会社 代表取締役社長)
野村総合研究所,フロントラインドットジェーピーを経て現職。
1993年からITによる社会システム革新,経営戦略の調査研究,コンサルティングに従事し,現在成功しているソフマップ, JTB,JCB,NTT DoCoMo,HONDAなどのインターネットビジネス参入の支援コンサルティングを実施。
http://www.d4dr.jp/


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