≪No.18≫ITの進化は雇用を奪うのか,創るのか



 時価総額が世界一になったアップル社がノースカロライナ州に10億ドルを投資して作った巨大データセンターの雇用がたった50人であることが米国で話題になっている。 これまで大企業が工場を建設してくれればたちまち大量の雇用が生まれ,その家族が住み,生活のための様々なサービス業が集積をした。

 かつて日米摩擦の象徴だった自動車輸出問題が静かになったのはトヨタが米国に工場を造り,トヨタのお陰で多くの米国人の雇用が生まれたことが最大の要因である。 しかし今回のデータセンターにはこれまでの工場型の地域経済モデルは存在し無い。ただひたすら巨大なサーバー群が自動で動いているだけであり, 人手は極力かけないモデルになっている。

 ITの進展は社会の生産性を高めためことは間違い無いが,アップルやグーグルのように知識集約型のモデルであればあるほど,その効率は極限まで高められ, 単純労働部分は全てコストの安い発展途上国に流れ,先進国では優秀な頭脳労働者だけが雇用されるモデルになる。

 例えばアマゾンも変曲点にいる。
 これまでアマゾンは巨大な倉庫をいくつも抱え,そこでは大量のブルーカラーの雇用が生まれた。巨大な倉庫の中で大量の書籍をピッキングする人が必要であったからだ。 しかし,現在アマゾンはキンドルによる電子書籍モデルに転換しつつあり,すでに米国では電子書籍の売上が既存の紙の書籍を上回る状態である。 もしこのまま電子書籍が市場を支配すれば倉庫で書籍をピッキングする人はいらなくなる。 もちろんアマゾンの場合は本以外の商品がたくさんあるので何人かは配置転換すればよいかも知れないが。

 日本で現在普及しているソーシャルゲームを提供している企業達も飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しており,ついに野球チームを持てるぐらいにまでなり, 海外進出も含め今後の新しい日本の成長企業として注目を集める。雇用面でも若い優秀なエンジニアが高給でどんどん雇われ,知識労働者需要は旺盛だ。 しかし彼らのユーザーは全国にいるが,地方ではパチンコで遊んでいた人達がゲームにお金を払うのでパチンコの客を奪うとまで言われている。 パチンコはリアルな建物と駐車場があるので,パチンコ屋さんに務める従業員や定期的な内装工事により工務店などの仕事を生み出していた。 しかし,彼らがゲームでかけるお金は東京に集まってしまい,地方に雇用はほとんど生まない。モバゲーが未成年者の出会い系を防止するために, 書き込み内容をチェックするセンターをある地方に設立したことがあり雇用は生み出したが,それもどちらかというといち早く効率化して自動化したい部門だろう。


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