【2011.12.06】 特集 No.44

社会的課題を直視しながら自立を支援するSNS
オンラインサービスに無料・少額課金が求められる意義(1/4)


●ソーシャルビジネスの両義性と親和性
 

 ソーシャルメディア、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の普及で、「ソーシャル」という言葉が広く使われるようになっている。 SNS上の人間の相関関係や、そのつながり、結びつきであるソーシャルグラフを利用して、他のユーザーとコミュニケーションをとりながらプレイするゲームは、 ソーシャルネットワークゲーム(Social Network Game)と呼ばれ、いまでは単にソーシャルゲームと言われるようになっている。

 ソーシャルには、ソーシャルダンス(社交ダンス)といった「社交」の意味とともに、ソーシャルワーク(社会福祉援助)のような「社会」「社会的」といった意味のほか、 「社会貢献」「社会福祉」「社会支援」といってニュアンスがある。ただ、SNSを含むWeb2.0の浸透により、 ソーシャルは現実のコミュニティだけでなく、オンライン上のコミュニティ、人のつながり、人間関係を表すときにも使われるようになり、 「オンライン・コミュニケーションを使った」といった意味が含められるようになった。

 ソーシャルビジネスと言えば、環境や貧困問題など、さまざまな社会的課題に向き合い、ビジネスを通じて解決していこうとする公共的貢献性もある活動である。 いわば、ビジネス手法を活用して、事業性を確保しながら、社会問題を解決しようという行動である。

 これは、ときにソーシャルエンタープライズとか、ソーシャルエンタープライズシップとも呼ばれる。 エンタープライズを冠したときは、社会問題の解決を目的に、収益事業に取り組む事業体を指しことが多く、「社会的企業」といった意味合いが強くなる。 または、その事業に取り組む事業者・実業家、社会起業家、企業家を指すことが普通である。

 ソーシャルビジネスのなかでも、地域の課題について地域住民がビジネスの手法を用いて解決する取り組みについては、 コミュニティビジネスという言葉もある。ここで言うコミュニティとは、市町村などの地域社会のことである。

 ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスの本来的な意味合いに対して、違和感を感じた方もいるかもしれない。いまではソーシャルビジネスと言えば、 ソーシャルメディアをビジネスに使った取り組みとして捉えられることも増えているからである。コミュニティビジネスも、 SNSやソーシャルテクノロジーを使った事業展開として捉えられたりする。

 コミュニティは、本来の意味から転じて、国際的な連帯やインターネット上の集まり、つながりもコミュニティや共同体として使われることも増えており、 むしろその使われ方がIT業界には一般的だったりする。

 こうして見ると、ソーシャルという言葉に両義性があるように見える。だが、実は根っこは同じなのである。


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